自己破産した場合の家族への影響は?大切な家族を守るポイント


  借金の返済が厳しくなり、自己破産を考えていますが、私には妻と子どもがいて、家族に迷惑が掛からないか不安です。

 

 また、自分の両親はある程度財産を持っているのですが、私が自己破産することにより、両親の財産を取られてしまうことがないか心配です。

 

 自己破産による家族への影響には、どういうものがあるのでしょうか。

 

 家族に心配を掛けたくないのですが、家族に知られずに自己破産をすることはできるのでしょうか。

 

 

 

 

このページで分かること

✓ 自己破産により家族に影響があることとないこと

 

✓ 自己破産する場合の親への影響(特に相続があった場合)

 

✓ 家族に知られずに自己破産をすることができるか

 

短くまとめると、

 

✓  自己破産によって家族に影響があることとして、①預貯金の問題、②住居の問題、③クレジットカードの問題、④車の問題などがある

 

✓  連帯保証人等になっていない限り、自己破産は家族の財産に影響を及ぼさない

 

✓  親が死亡した後に自己破産をする場合には、注意が必要

 

✓  家族に知られずに自己破産をすることは難しい場合が多い

 

 

 

 

1. 自己破産により家族にどんな影響がある?

自己破産をする場合、様々な場面で、家族に間接的に影響が出ることがあります。

以下では、主な影響について解説します。

①預貯金の問題

自己破産をする場合、原則として、破産者の財産は換価され、債権者への配当の原資となります。自己破産をする場合には、破産者名義の預貯金についても、残高が総額20万円以上の場合には、原則として、破産者の手元に残すことはできなくなります※。

他方、例えば破産者の妻名義や子供名義の預貯金については、原則として、破産手続きに影響を受けることはありません。ただし、例えば、破産前に財産を隠す目的で妻(ないし子供)名義の口座に破産者のお金を移したりした場合には、破産管財人により取り戻しの請求をされる可能性があるほか、免責不許可とされたり、「詐欺破産罪」として刑罰を科される可能性があります。

※裁判所によって運用が異なります。2023年5月時点のさいたま地方裁判所越谷支部の運用では、預貯金を含む一定の財産の合計が99万円以下であれば、破産した場合でも破産者の手元に残すことが認められることが多いです。

 

②住居の問題

持ち家に住んでいる場合、破産手続きにより、持ち家を手放さなければなることが多いでしょう。そのため、家族も含め、引っ越しを余儀なくされることになります。賃貸住宅に住んでいる場合には、例えば家賃が高すぎたり、家賃を滞納しているなどの事情がなければ、引っ越しをしなければならないケースは少ないでしょう。

 

③クレジットカードの問題

破産者の家族であっても、家族自身の信用情報には影響がないので、家族が自身を主契約者とするクレジットカードはそのまま使い続けることもできますし、新たにクレジットカードを作ることも可能です。例外として、家族が破産者を主契約者とする家族カードを使っている場合、破産者が破産をすると、家族カードも使えなくなります。

 

④車の問題

破産者名義の車については、ローンが残っているかどうかで分けて考える必要があります。

ローンが残っている場合には、自動車の所有権がローン会社に留保されているのが通常です。そのため、破産することになった場合には、ローン会社が自動車を引き揚げます。その結果、家族が使っている場合でも、破産者名義の車であれば、破産により使うことができなくなってしまいます。

ローンが残っていない場合には、自動車の評価額が20万円以上の場合は原則として換価され、手元に残らないことになります。

これに対し、家族名義の車の場合には、破産による影響を受けることはありません。ただし、破産の直前に破産者名義の車を家族名義に代えるなどの行為は、預貯金口座内の金銭の家族名義口座への移動と同じように、後日問題となる恐れがありますので、やめましょう。

 

2. 自己破産で家族の財産はどうなる?結婚や就職への影響は?

上述の通り、自己破産で影響を受けるのは、原則として破産者本人名義の財産のみです。

破産者の家族名義の財産まで換価されるということは、原則としてありません。

また、「連帯保証人」や「連帯債務者」になっているなど、家族自身が借入の返済義務を法律的に負っていない限り、破産者の借入の返済義務を、その家族が負うことはありません。つまり、「家族だから」という理由だけで、借金を返済しなければいけないということはないのです。

 

自己破産することにより、例えば子供の結婚や就職への影響を心配する方もいます。

しかし、破産者の情報は、普通の人が目にすることはあまりない「官報」という新聞のようなものに掲載されるだけですので、他人に破産したことが知られる可能性は一般的に低いと言えます。破産をした事実が戸籍や住民票に載ることもありません。

そのため、破産をしたとしても、子供の結婚や就職が影響を受けることは、ほぼないといってよいでしょう。

ただし、結婚相手やその親が興信所に依頼して調査するなどした場合には、破産したことが知られてしまうリスクはあります。

また、近年では、「破産者マップ」など、官報の情報をもとに、破産者の情報をインターネットで容易に検索・閲覧できるようにしたサイトが現れるようになりました。このようなサイトを閲覧することにより、破産したことが知られてしまう可能性はあります。

 

3.自己破産と親の財産(相続)

前項で、自己破産で影響を受けるのは、原則として破産者本人名義の財産のみであること、「家族だから」という理由だけで、借金を返済しなければいけないということはないことを説明しました。

これは、破産者の親であっても同じことです。

破産者の親が資産家だからと言って、当然に破産者の借金を親が返さなければいけないということはありませんし、破産者の借金の返済のために親の資産を換価するということもできません。

しかしながら、破産者の親が破産手続開始決定前に死亡した場合には、注意が必要です。

親が死亡した場合、相続が発生し、子である破産予定者が親の遺産を引き継ぐ場合があります。破産手続開始決定前に相続が発生すると、相続財産も含め、原則として破産財団を形成する財産として換価の対象となります。また、破産開始決定前に、破産者に不利な内容で遺産分割協議が行われ遺産が分割された場合、破産管財人が否認権を行使することもありますので注意が必要です。

 

4. 家族に知られずに自己破産をする方法

ご家族に心配を掛けたくない等の理由から、ご家族に知られずに自己破産をしたいという方も少なくありません。

しかし、以下の理由により、少なくとも同居しているご家族については、知られずに手続きをするというのは難しいかもしれません。

まず、上述のように、持ち家から退去しなければならない、車を引き揚げられるなど、破産手続きを行ったことによりご家族の生活にも影響が出る場合には、家族に知られずに自己破産をするのは困難です。

次に、家族の生活に影響が出るようなケースではなくても、破産手続き開始決定の申し立てに必要な書類には、その作成・提出に、同居しているご家族の協力が必要なものが少なくありません。

例えば、破産手続開始決定の申立書類として、家計簿を提出する必要がありますが、家計簿は、家計を一にしているご家族全員の収入・支出をまとめて記載することが求められます。

裁判所によっては、家計簿の内容の裏付け資料として、同居しているご家族の給与明細を提出することを求められます。また、公共料金や生命保険料がご家族の口座から引き落とされている場合には、その通帳のコピーの提出を求められることもあります。

このような場合には、ご家族の協力を得るために、自己破産について話をせざるを得ないこともあるでしょう。

その他、家族が破産者の保証人になっていたり、家族が破産者に貸付をしており債権者となっている場合には、債権者や裁判所からの通知が家族に届くことになるので、家族に知られずに自己破産をするのは困難です。

 

5.まとめ

以上の通り、自己破産による家族への影響は様々なものがあります。自己破産や家族への影響について心配なことがあれば、専門家である弁護士等に相談することをおすすめします。

 

 

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