Q 任意整理のメリット、デメリットを教えてください。
任意整理のメリット
① 利息制限法に違反する金利で返済している期間がある場合、その期間の取引を、適正金利に引き直して計算することで、支払うべき元本を減額できる可能性があります。
再計算の結果、元本が払い過ぎになっている場合には、払いすぎた金額の返還を求めることになります(これがいわゆる過払い金の返還請求です。)。なお、現在は、貸金業法等の改正により、このような引き直し計算による元本の減額や、過払い金の返還請求の対象となる取引は少なくなってきており、最終的にはこの論点は無くなっていくことになると思われます。
② 毎月の分割払いの方法・金額を見直すことができますので、現在のお客様の家計状況に応じた無理のない返済計画を協議することが期待できます。また、和解後、完済までに支払うべき将来の利息を免除できる可能性があります。
但し、本記事執筆時点(2024年3月)の状況としては、強硬に一括払いを要求する債権者や、利息の支払いのカットに応じない債権者も増えてきている印象です。
③ 一部の債権者のみを対象として、手続きを取ることも可能です。たとえば、どうしても家や車を残す必要がある場合に、それらのローン以外を任意整理することも可能です。
ただし、住宅ローンについては、住宅ローン特則付き個人再生手続きの方が抜本的な返済額の見直しにつながることが多いので、手続き選択は慎重に行う必要があります。
④ 裁判所に書類を提出する必要がありませんので、日中忙しく、なかなか書類をそろえることが難しい方でも、比較的簡便に債務整理を行うことが可能です。
⑤ 裁判所の審査が無いため、弁護士に相談、依頼をしてから解決するまでの時間が比較的早い手続きです。
任意整理のデメリット
① 原則として任意の交渉による解決になりますので、強硬に一括弁済を主張してくる債権者や、利息の支払いを求める業者が存在する場合、任意整理による解決が難しくなってきます。
② 利息制限法違反の取引が存在しない場合、原則として元本の返済は最低限必要になってきますので、抜本的な経済的な再生が難しいケースや、思ったよりも毎月の支払が減らない可能性があります。
③ ほかの手続きと同様に、信用情報への悪影響もあります。