【弁護士コラム】投資詐欺で借金をしてしまった!その対処法は?
SNSでの知り合いに、「楽に稼げる!」「必ずもうかる!」といわれて、借金をして仮想通貨の購入費用を用意し、送金しました。
しかし、「買った直後にその仮想通貨は大暴落したからお金は返金できない」と言われ、購入を勧めてきた知り合いとも連絡が取れなくなりました・・・。
Q 投資詐欺で借金をしてしまった場合でも、借金を返済しなければいけないのでしょうか。
✓投資詐欺で作ってしまった借金の返済義務
✓投資詐欺被害に遭ったお金を取り戻す方法とその可能性
✓投資詐欺被害を解決する方法
★このページのポイント★
✓投資詐欺で作ってしまった借金でも、返済義務はある。
✓投資詐欺被害は、警察に被害届を提出、加害者に損害賠償請求、弁護士に相談で解決を目指す。
✓投資詐欺被害に遭ったお金を取り戻すのは困難。
✓投資詐欺で作ってしまった借金は、弁護士による債務整理で解決しよう。
目次
1. 投資詐欺で作ってしまった借金でも返済義務はある
投資詐欺では、「必ず儲かる」「元金は保証する」などと言って、被害者に借り入れをさせてでも、多額のお金を出させようとします。
そのため、被害者の借入額が数百万という大きな金額になる場合も少なくありません。
このような事情から、投資詐欺被害に遭った被害者が借入金を返済することが難しい場合も多いのが実情です。
投資詐欺被害に遭い、金融機関等から借金をしてしまった場合、お金を借りた本人は、詐欺被害に遭った被害者という側面もあります。
しかし、それでも、借金の返済義務がなくなるわけではありませんので、お金を借りた本人である被害者がきちんと返済をしなければいけません。
詐欺被害に遭ったために借り入れたからと言って、借金を返済せずに放っておけば、金融機関から督促の電話がかかってきたり、裁判所での手続きをされて給料を差押えられたりすることもあります。
2. 詐欺被害を解決するための3つの方法
詐欺被害を解決するためには、以下の3つの方法等が考えられます。
① 警察に被害届を提出する、
② 加害者に損害賠償請求、
③ 弁護士に相談、債務整理を検討
警察に被害届を提出し受理される出すと、警察が詐欺行為について捜査を行います。
また、被害者が加害者からお金を返してもらうためには、被害者が加害者に対して損害賠償請求訴訟をする必要があります。訴訟をするにあたっては、訴訟提起をした場合の返金可能性を含め、今後の見通しなどを弁護士に相談してから行うかどうか決めるのが良いでしょう。
そして、被害者が負ってしまった借金については、弁護士に相談し、返済が難しそうであれば、債務整理を検討することになります。
3. 投資詐欺被害にあったお金を取り返すことは困難
たとえ警察への相談や加害者への損害賠償提起をしても、被害者が投資詐欺被害に遭ったお金を取り戻すのは難しい場合が多いです。
まず、警察へ被害届を出した場合、仮に捜査がうまくいき、刑事裁判になって加害者が処罰されたとしても、それによって被害者にお金が返金されるわけではありません。
被害者が加害者からお金を返してもらうためには、加害者に対して民事の損害賠償請求訴訟をする必要があるのです。
しかし、民事訴訟をするためには、加害者の名前や住所が必要ですが、投資詐欺においては、加害者の本名や住所が不明な場合が多く、民事訴訟の提起自体が難しいことが少なくありません。
そのうえ、損害賠償請求訴訟で勝訴したとしても、加害者に財産がなければ、実際にお金を返金させることができません。
投資詐欺の加害者は、だまし取った金を既に使ってしまっているか、海外口座などに隠してしまっていることが多いため、実際にお金を回収することが極めて難しいのです。
とはいえ、投資詐欺被害に遭ってから素早く対応すれば、加害者から被害金額を回収できる可能性もあります。
投資詐欺被害に遭ったことがわかった場合には、実際に損害賠償請求訴訟を行うかどうかも含め、早急に弁護士に相談してみることをお勧めします。
4. 投資詐欺で作った借金は債務整理で解決
以上の通り、投資詐欺の加害者からお金を取り戻すことが難しいとなると、借金をしてしまった被害者としては、借金を返済することができなくなってしまうことが多いでしょう。
このような場合には、被害者となってしまった方は、弁護士に相談して、債務整理を検討することになります。
債務整理には、①任意整理、②破産、③個人再生の3つの手続きがあります。
任意整理とは、裁判所を通さずに、弁護士が代理人となって債権者と債務者の間に入って交渉し、借金の減額や利息の一部カット、返済方法などを決め、和解を求めていく手続のことです。減額して残った借金は、通常3~5年をかけて、返済していくことになります。任意整理では、裁判所を通さずに手続きが可能ですが、借金を大きく減額できるわけではないことに注意する必要があります。
破産手続きとは、裁判所へ申立てをして破産の手続きをすることにより今までの借金を全てなくすことができる制度です。ただし、投資目的で著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担した場合については、破産法上、原則として免責不許可事由とされているため、注意が必要です。また、特定の職業への就業についての資格制限があります。
個人再生とは、裁判所へ申立てをして、債務の一部免除や長期の弁済条件を盛り込んだ再生計画を基に、3年から5年間で返済していく手続きです。住宅ローンがある場合、持ち家を残しながら借金の圧縮できる可能性があることが大きなメリットです。
このように、債務整理には、それぞれメリット・デメリットの異なる3つの手続きがあります。
そのため、借入額、借入の理由、ご本人の就労状況、ご本人の生活状況、持ち家の有無などを確認し、最適な手続きを選ぶ必要があります。
特に、投資目的で著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担した場合については、破産法上、原則として免責不許可事由とされているため、破産手続きを行うかどうかの判断にあたっては、経験豊富な弁護士に相談のうえ、慎重に検討する必要があります。
5. 今後投資詐欺被害にあわないために気を付けること
今後、投資詐欺被害に遭わないようにするためには、どういうことに気を付ければよいのでしょうか。
「絶対に儲かる」とか「楽に儲かる」などの投資話は、まずは疑ってみることが大切です。
最近では、TwitterやInstagramなどのSNSや、マッチングアプリなどで投資詐欺の勧誘を行うケースも増えています。
詐欺師は、車や時計などの高額商品、高級ブランドの服や小物、高級ホテルや海外旅行など、「多額の金を稼いでいる成功者である」と錯覚させるような写真を投稿するなどして、被害者を騙そうとします。
しかし、そもそも、本当に自ら投資で多額の金を稼いでいる人であれば、他人に借金をさせてまで仮想通貨や未公開株などを買わせるということ自体、合理的ではありません。世の中そんなにうまい話はないものです。
このようなSNS等での投資話の勧誘には十分注意しましょう。
6. まとめ
投資詐欺被害は、一旦被害に遭ってしまうと、騙し取られたお金を回収して被害を回復するのは難しいことが多いのが実情です。
投資詐欺被害に遭ったと思った場合には、早めに弁護士に相談するようにしましょう。
また、借金して投資詐欺にお金を支払ってしまった場合でも、返済義務がなくなるわけではありません。
借金を返済するのが難しい場合、まずは弁護士に相談し、債務整理をするかどうか、どの手続きを行うかを検討しましょう。
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この記事の監修者
弁護士 星野 彩子
注力分野:法人破産,個人破産,個人再生
神奈川県出身。早稲田大学政治経済学部卒業。埼玉弁護士会所属。
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