【親の借金問題】放っておくとどうなる?子どもに影響が出るケースと対処法

高齢の両親
 

「親が借金をしていたことを最近知った」
そんな状況に置かれて、不安や混乱を感じている方も多いのではないでしょうか。
自分に返済義務があるのか、放っておくとどんなリスクがあるのか、情報に左右されて判断ができず、心配ばかりが募るものです。

 


悩む男女

自分は本当に返済しないといけないのか
親をサポートした方がいいのか、どうすればいいのかな
相続放棄と債務整理、何が違うのか


 

 本記事では、「親の借金」にお悩みの方が抱える不安や疑問に対し、法律の知識に詳しくなくても理解できるよう、わかりやすく丁寧に解説していきます。種々のお悩みに寄り添いながら、次の一歩を踏み出せるような情報をお届けします。

 


 

1. 親の借金が発覚したときに知っておくべき基本知識

 突然、親の借金が明らかになったとき、多くの方は「この借金、自分が返さないといけないの?」と不安になるでしょう。まず大切なのは、冷静に情報を整理し、事実を正確に把握することです。
 
 ここでは、親の借金が発覚したときにまず確認すべき3つのポイントについて解説します。

 

(1) 親の借金で子どもに迷惑がかかることはある?

 基本的に、親の借金について子どもが返済する義務はありません。親が作った借金は、契約上の債務者である「親本人」が返済義務を負うもので、子どもが関係するのは例外的な場合に限られます。
 
 例外的な場合とは、子どもが保証人になっていた、親が亡くなって相続が発生したなどのケースです。この場合は子どもに影響が及ぶことがあります(詳細はこちら)
 
 また、精神的な負担や家庭内トラブルなど法的な責任とは別に、生活への間接的な影響も無視できません。借金問題が大きくなる前に、早めに現状を把握し、対応策を検討することが大切です。

 

(2) 親の借金の総額と借入先を調べる方法

 親の借金が発覚したとき、まずやるべきことは「親がどこから、いくら借りているのか」を明確にすることです。これがわからないと、的確な対応はできません。

 

Ⅰ 親がご存命の場合

 親が元気で話せる状態であれば、正直に話し合うのが理想です。ですが、借金という性質上、話したがらないケースもあるでしょうし、親自身も正確に借金の把握ができていないケースもあるでしょう。
 
 その場合は、以下のような方法で借入状況が分かる可能性があります。

 

ⅰ 信用情報機関への開示請求(CIC、JICCなど)

 ローンの契約やクレジットカードの申込をする際、「信用情報機関」に情報が登録されるのが一般的です。そのため、信用情報機関へ情報の開示請求をすると、親がどこの会社と契約しているのか、支払い状況などを調査することができます。
 
 あくまで信販会社などの信用情報についてですので、友人や知人などの個人からの借入は調査の対象にはなりません。
 
 ただし、親本人から請求する必要があります。

 

ⅱ 通帳・郵便物・契約書類の確認

 通帳の出金履歴やローン契約書が残っていれば、債権者(借入先業者)が判明します。返済が遅延している場合は、請求書や督促状などの郵便物があるかもしれません。これらの書類が見つかればどこの会社に借金があるのかおおよその検討がつくでしょう。

 

Ⅱ 親が亡くなっている場合

 相続人(相続した場合であり、相続放棄した場合は該当しません)であれば、信用情報機関へ亡くなった親本人の情報の開示請求をすることができます。さらに、遺品の中から借金に関する書類を探すことで、借金があるかどうか調べることができるでしょう。

 

(3) 督促状や裁判所から通知が届いた場合の対応

 突然、「支払いを求める督促状」や「裁判所からの通知」が届くと、とても驚くものです。
 
 しかし、無視するのは絶対にやめましょう。まずは書類の宛名と内容を確認し、親が当事者なのか、自分も当事者なのかを判断しましょう。自分に返済義務があるかどうかわからない場合は弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
 
 裁判所からの書類が届いた場合、訴訟や支払督促などの可能性があります。支払督促という手続の場合、受け取ってから2週間以内に対応が必要になることが多いです。届いた書類は必ず中身を確認し、できるだけ早く専門家に相談しましょう。

 

2. 親の借金に子どもが返済義務を負う主な3つのケースとその対応方法

3つのケース
 

 親の借金をめぐって、最も気になるのが「子どもに返済義務があるかどうか」です。
 
 基本的に、親が自分名義で借りた借金を、子どもが返す義務は原則ありません。ですが、例外的に子どもに返済義務が及ぶケースも存在します。
 
 ここでは、親の借金が子どもに影響する主な3つのケースと、それぞれの対応方法について解説します。

 

Case① 親の借金の連帯保証人になっていた

 子どもが親の保証人(一般的には、連帯保証が多いので、以下では連帯保証人とします)になっていた場合、主債務者である親が返済できなくなると、借金の返済義務は子どもに発生します。
 
 すでに連帯保証人になっている場合で、債権者からあなたへ請求がきている場合、返済義務を回避することは難しいでしょう。返済計画を立てるか、債務整理(任意整理・自己破産など)を検討しましょう。
 
 もし、連帯保証人を頼まれている段階なら、内容を確認し、返済を肩代わりすることは難しいと判断した場合は断る勇気を持ちましょう。情に流されて引き受けると、自分の生活が破綻する可能性もあります。

 

Case② 親が子どもの名義で借金をしていた

 「親に頼まれてカードを作り、そのカードを親に渡した」「親が子どもの知らないうちに借金の契約書に署名していた」などの理由で、子ども名義の借金があるケースがあります。
 
 親と話ができない、折り合いがつかないなど解決が難しい場合は、早めに専門家に相談することを検討すべきでしょう。知らないうちに契約されていた場合は、契約書や借用書などの証拠があれば相談する際に持参しましょう。
 
 放置すると、債権者から「子ども」へ訴訟提起や強制執行などされるおそれもあるので、早期対応がカギです。

 

Case③ 親の借金を相続した場合のリスクと対応方法

 親が亡くなった場合、借金を含めた財産(積極財産・消極財産)はすべて相続の対象になります。何もしないまま時間が経過すると、親の借金も自動的に相続してしまうことになります。

 

Ⅰ 親が亡くなった後の借金と相続の基本

 相続とは、亡くなった人の財産を、相続人が引き継ぐことです。ここでいう「財産」には、プラスの財産(預貯金・不動産など)だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。
 
 相続には「単純承認」「相続放棄」「限定承認」の3種類があり、何もしなければ「単純承認」となり、全ての財産(借金を含む)を相続することになります。

 

Ⅱ 相続放棄と債務整理、どちらを優先すべきか?

 相続による借金の引継ぎを避けるためには、「相続放棄」という手続が必要です。これは、家庭裁判所で申し立てを行い、一切の相続財産を放棄するというものです。
 
 ただし、相続放棄には期限(原則:相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内)があります。放棄しなければ借金の返済義務を承継するため、判断は早めに行う必要があります。
 
 親の借金が多額である場合は、相続放棄の検討が最優先です。相続時の借金が少額であれば、放棄せず相続する、プラスの財産内でマイナスの財産を相続する限定承認という判断もあり得ます。

 

3. 親の借金問題を解決するための債務整理3つの方法

 親が現在も生存しており、借金の返済に苦しんでいる場合、「債務整理」が現実的な解決策となります。債務整理とは、借金を減らしたり、返済計画を見直したり借金を整理するための手続の総称です。
 
 ここでは、親の収入状況や返済能力に応じて選べる3つの代表的な債務整理の方法について解説します。いずれも親ご本人が手続を行うことが必要になります。

 

方法① 任意整理|親の収入で返済可能な場合の解決策

任意整理とは、借金の利息カットや返済計画の見直しを債権者と交渉する手続です。裁判所を通さずに行えるため、比較的簡易な手続と言えます。

 

特徴
  • 将来の利息を免除してもらえる可能性あり
  • 原則、3〜5年で分割返済する形になる
  • 住宅や車などの財産はそのまま維持できる

 

向いている人
  • 一定の収入があり、毎月一定額の返済が可能な人

 

方法② 個人再生|安定した返済能力がある場合の再建手段

個人再生は、裁判所を通して行う手続で、借金を減額した上で、3~5年の期間で分割返済する制度です。

 

特徴
  • 住宅ローン以外の借金は原則として5分の1になる(最低弁済額100万円 *借金額によって割合は変動)
  • 自宅など資産を維持しながら借金整理できる点が大きなメリット

 

向いている人
  • 安定した収入があり、減額された借金なら返済できる人
  • 持ち家を手放したくない人
  • 自己破産できない事情がある人(資格制限など)

 

方法③ 自己破産|返済が困難なときの最終的な手段

自己破産は、借金の支払い義務を免除してもらうための法的手続です。収入がない(少ない)、借金が高額である場合などに選択されます。

 

特徴
  • 借金が帳消しになる(※税金や養育費など一部例外あり)
  • 持ち家がある場合は手放さなければならない
  • 一定期間、特定の職業や資格に制限がある

 

向いている人
  • 低収入または生活保護を受けているなど、返済が難しい人
  • 持ち家を手放したくない人
  • 借金が高額で、他の債務整理の方法では対応できない人

 

債務整理の種類・比較

 

4. よくある質問|親の借金と債務整理に関するQ&A

親の借金に関しては、分かりにくい法律に加えて感情的な部分も交錯するため、不安を持たれる方が多いです。ここでは、親の借金にまつわる疑問をQ&A方式でご説明します。

 

子どもや家族の信用情報に影響はありますか?
基本的に、親の借金が子どもや配偶者の信用情報(いわゆるブラックリスト)に直接影響することはありません。ただし、保証人になっている場合、保証人になった事実など、保証人としての信用情報が登録されます。
 
参考 CIC|CICが保有する信用情報
 
参考 CIC|知人がクレジット契約をする際に保証人になりましたが、CICに情報は登録されますか?
親の借金が原因で住宅ローンが組めなくなることはある?
親の借金が子どもの住宅ローン審査に直接影響することは基本的にはないでしょう。
 
住宅ローン会社は、独自の基準によって審査を行いますが、信用情報も調査の対象となることがあります。自分が親の借金の保証人になっている場合は、保証人になっている情報は住宅ローン会社へ共有されることになるでしょう。
 
参考 三井住友銀行|住宅ローン審査の流れとは?必要書類や注意点もあわせて解説!
自分名義の財産が親の借金の差押え対象になることはある?
原則として、親の借金で子どもの財産が差し押さえられることはありません。
 
ただし、親子で共有名義の不動産などは影響を受ける可能性があります。
 
また、名義貸し(子どもの名前で親が借金をした)をしていた場合、子ども名義の財産が差押えされることもあるので注意が必要です。
親の借金が原因で債権者が自宅に来ることはある?
業者にもよりますが、債権者が突然自宅に来ることは多くはありません。
 
しかし、返済が長期滞納している、債権者からの連絡に応じないなどの場合、債権者が直接自宅に来ることがあります。不在の場合は、訪問したことが記載された書面を自宅ポストに投函されることもあります。
 
裁判所から強制執行の決定が出た場合は、財産調査や差押えのために執行官が訪問することがあるでしょう。
自分も借金を抱えている場合の対応方法は?
自分自身も借金があり、親の借金問題にも巻き込まれている場合は、まず自分の生活と返済計画を優先することが大切です。無理に親の借金まで背負うと、共倒れになってしまいます。
 
自分も債務整理を検討する(任意整理・自己破産など)、収支を見直して生活費と返済のバランスを立て直すなど、まずはご自身の問題を優先し無理をしないことが、長期的に見て家族を守ることにつながります。
親の借金で自分の家庭が壊れそう、親と縁を切ることはできる?
法的に「親子の縁を切る」ことはできません。生活上の接触を極力避ける(連絡を取らない、住所を教えない等)ことは可能です。
 
経済的・精神的に追い詰められてしまう前に、第三者に相談することが何より大切です。親の借金問題は、親子間の感情が絡みやすく、家庭内で解決しようとすると関係が悪化することもあります。
 
法律の専門家(弁護士・司法書士)や市区町村の相談窓口など、外部の視点を入れることで、気持ちの整理と現実的な対処の両方がしやすくなります。親子関係を断ち切りたいと思うほど精神的負担が大きい場合は、カウンセラーの利用も検討してみてください。
親の借金を知らなかったのに相続されることはある?
あります。相続は、プラスの財産もマイナスの財産(借金)もすべて引き継ぐ制度です。具体的な財産状況を把握しているかどうかは関係ありません。
 
親の死後に借金の存在が判明した場合でも、相続放棄の期限(原則3ヶ月)以内であれば、放棄することで回避できます。
親の借金を一部肩代わりしたら相続放棄できなくなる?
はい、その可能性があります。相続放棄を検討している場合に、借金の一部を支払ってしまうと、「相続を承認した」と見なされるリスクがあります。
 
相続放棄をする予定があるなら、以下の行動は控えましょう。相続放棄をするかどうか決まるまで、親の財産や借金には一切手を付けない方が無難です。
 
・借金の一部を返済する
・親の財産を処分・使用する
・親の口座から勝手に出金する

 

5. まとめ|親の借金に冷静に向き合うために大切なこと

 親の借金問題は、突然知ることになるケースが多く、戸惑いやショックを感じるのは当然です。もし今、親の借金問題で頭を抱えているなら、一人で悩まないことが何より大切です。借金の問題は、早めに動けば多くの選択肢があり、後々のトラブルを避けることができます。
 
 無料で相談できる窓口も数多くありますし、弁護士・司法書士などの専門家に依頼すれば、スムーズな解決に向けて道筋をつけることができるでしょう。

 

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