買い替えローンの場合でも個人再生を利用した事例
1 事案の概要
Aさんは金融のお仕事をされており、自己破産を回避したい(戸建ての住宅も維持したい)という意向がありました。しかし、住宅ローンは、買い換えローンと呼ばれるもので、買換え前に居住していたマンション購入のローン残高(旧ローン)も含めて住宅ローンを組んでおり、その割合も旧ローンの返済分が3割程度に達していました。 一般的に、住宅ローンに、住宅購入資金以外の用途のローンが含まれている場合、その割合が僅かであればともかく、そうでない場合には原則として利用が難しいとされるのが一般的な理解です。 実際、Aさんが別の弁護士に相談した際、個人再生の特則は使えない、あきらめて自己破産しかないという回答を受けておりました。
2 解決
当事務所では、そもそもマンション購入のための旧ローンの返済も、現在の戸建て購入に必要な資金に該当するという理論構成をすることで個人再生を利用できる可能性があると考え、管轄の地方裁判所に個人再生手続の申し立てを行いました。 地方裁判所の裁判官からは、上記の一般的な理解から、特則を用いた個人再生の利用ができないため、申立てを取り下げるよう勧告されました。しかし、当事務所としては、裁判所の理解は法の趣旨に添わないと考えてため、そのまま申立てを維持しました。すると、裁判所から却下決定されました。 この決定に納得できず、東京高等裁判所に抗告したところ、高等裁判所は、当事務所の理論構成を受け入れ、いわゆる買換えローンは、その全額が住宅購入のための資金に該当すると判断し、一審の判断を取り消して差し戻しました。 差し戻しを受けた地方裁判所は、当事務所の主張を受け入れ、無事、個人再生手続が利用できました。
3 解決のポイント
前例の無い事案や、他の法律事務所が困難と判断した事案であっても、弁護士によっては希望を実現できることもあります。