【弁護士コラム】20代で借金の整理(債務整理)をしても大丈夫?その影響とおすすめの整理方法は?
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Q 借金整理(債務整理)することを考えていますが、20代で借金整理(債務整理)をしても大丈夫でしょうか?
彼氏や彼女に内緒にできますか?結婚に影響はありませんか?
✓20代で借金整理(債務整理)した場合の将来への影響
✓20代で借金整理(債務整理)する場合のおすすめの整理方法
★このページのポイント★
✓20代であっても、借金がある人は少なくない。
✓20代で借金整理(債務整理)する場合、早めの行動が将来への影響を小さくする。
✓20代で借金整理(債務整理)する場合、影響を最小限に抑えたい方は、「任意整理」がおすすめ。
✓借入額が多い場合には、破産や個人再生を検討しよう。
1. 20代で借金してしまう人の特徴
20代で借金してしまう人は、どんな理由でお金を借りているのでしょうか。
実は、20代で借金をしている人は、少ないわけではありません。実は、20代で借金をしている人は、少ないわけではありません。
その理由として、まずは奨学金が挙げられます。
例えば、日本学生支援機構の調査によれば、大学(昼間部)で約半数の学生が奨学金を利用しているとの結果が出ています。
奨学金については、「借金である」という認識がない人も多いですが、期日までに返済しなければいけない借入れ=借金であることに変わりはありません。
また、20代で就職して給与をもらい、これまでよりも多くのお金を自分で管理するようになると、これまで欲しくても買えなかった高額な商品を手に入れることができるようになります。
特に、就職して定期的な収入が入るようになると、高額な商品でも、クレジットカードを作ったり、ローンを組んだりして購入することが容易になるため、クレジットカードやローンを利用して借金をしてしまうことが増えてしまうのです。
2. 20代で借金整理(債務整理)した場合の将来への影響
20代で借金整理(債務整理)をした場合、将来にどのような影響があるのでしょうか。
借金整理(債務整理)をした場合、デメリットとしては、まず信用情報に登録されることが挙げられます。信用情報とは、いわゆるブラックリストです。ブラックリストに登録されると、その後5年から7年は借金をすることができなくなると言われています。
そのため、借金整理(債務整理)をすると、一定期間、クレジットカードを利用したり、キャッシングをしたりすることはできなくなります。
また、ブライダルローンや住宅ローン、自動車ローンを組むこともできなくなるでしょう。もっと身近なところで言えば、携帯電話の本体の分割払いもできなくなります。
他方、債務整理をした場合でも、戸籍や住民票などに記録が残るわけではありません。
そのため、例えば結婚する場合でも、特に調査をするなどしなければ、過去に債務整理をしていたことが相手方にばれてしまう可能性は低いと言えるでしょう。
ただし、先述のように、一定の期間ローンは組めませんので、結婚に際して結婚式や住宅購入、自動車購入等を検討している場合、その費用については注意が必要です。
このように、20代で借金整理(債務整理)した場合の将来への影響として大きなものは、住宅購入や自動車購入など、生活の根幹にかかわる大きな買い物が難しくなることです。
信用情報への登録から信用の回復まで5年から7年と言われていることからすれば、20代で借入の返済が難しくなった場合には、早めに借金整理(債務整理)をした方が将来への影響は少ないと考えられます。
3. 20代で債務整理するためのおすすめの整理方法
20代で借金の返済が難しい場合、借金整理(債務整理)の方法としては、①任意整理、②破産、③個人再生の3つの手続きが考えられます。
このうち、借金整理(債務整理)による影響を最小限に抑えたいのであれば、任意整理が最もおすすめの整理方法であると言えます。
ただし、任意整理にもメリットとデメリットがあり、債務の額、債権者の種類、債務者の生活状況によっては、任意整理以外の方法も検討する必要があります。
以下では、まず任意整理のメリット・デメリットをみてみましょう。
4. 任意整理のメリット・デメリット
任意整理とは、裁判所を通さずに、弁護士が代理人となって債権者と債務者の間に入って交渉し、借金の減額や利息の一部カット、返済方法などを決め、和解を求めていく手続のことです。
減額して残った借金は、通常3~5年をかけて、返済していくことになります。
任意整理でも、ブラックリストに登録されてしまうことに変わりありません。
ですので、任意整理をすると、その後5年から7年は借金をすることができなくなるでしょう。 他方で、任意整理では、破産や個人再生と異なり任意整理を行ったことが「官報」に掲載されることはありません。
官報とは、政府や各府省が国民に広く知らせるために発表する公文や公告、会社法による法定公告等の記事が掲載される新聞のようなもので、通常は公務員や金融機関など、限られた人しか閲覧しないと言われています。
しかしながら、近年は、官報に掲載された破産者等の情報を独自に編集して検索可能にするなどしたインターネットサイトが出てきています。
そのため、破産や個人再生を行った場合、その手続きを取ったことが周囲の人にわかってしまうリスクが任意整理よりも大きいのです。
また、破産手続では、宅建業や警備員など、法律上一定期間その職業に就くことができなくなる、いわゆる「資格制限」があります。
そのため、転職をする場合に破産手続きを行っていると、この資格制限のために転職可能な時期や職種が縛られる可能性が出てきます。
しかし、任意整理の場合はそういった制限はありません。
このように、任意整理は、破産や個人再生に比べると、将来への影響が少ない手続と言えそうですが、借金を大きく減額できるわけではないことに注意する必要があります。
特に近年は、任意整理となった場合に直ちに裁判を起こしてきたり、遅延損害金のカットに応じなかったり、返済期間を3年までしか応じないなど、厳しい対応を取る業者も増えています。
そのため、借入金額や借入先、今後の収入の見通しによっては、任意整理以外の債務整理を行うことも検討する必要があります。
5. 任意整理以外の借金整理(債務整理)の方法
任意整理以外の債務整理の方法は、①破産と②個人再生です。
破産とは、裁判所へ申立てをして破産の手続きをすることにより今までの借金を全て払わなくてよくなるようにすることができる制度です。
この手続きを行って免責を得れば、原則としてこれまでの債務を支払わなくてもよくなります。税金など対象外のものもあります。
ただし、投資目的で著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担した場合など、破産法上、免責不許可事由とされているものがある点は注意が必要です。
また、先述のように、特定の職業への就業についての資格制限があります。
さらに、破産手続きを行ったことは官報に掲載されます。
個人再生とは、裁判所へ申立てをして、債務の一部免除や長期の弁済条件を盛り込んだ再生計画を基に、3年から5年間で返済していく手続きです。
破産とは違い、一定額を返済する必要はありますが、任意整理の場合よりも大幅に債務を圧縮できる可能性があります。
また、住宅ローンがある場合、持ち家を残しながら借金を減額できる可能性があることも大きなメリットです。
さらに、破産の場合と異なり、資格制限はありません。
ただし、個人再生の手続きを行ったことは、破産の場合と同様、官報に掲載されます。
このように、借金整理(債務整理)には、それぞれメリット・デメリットの異なる3つの手続きがあります。
そのため、20代の借金整理(債務整理)であっても、絶対に任意整理を選ぶべきというわけではなく、借入額、借入の理由、ご本人の就労状況、生活状況、持ち家の有無などを確認し最適な手続きを選ぶ必要があります。
6. まとめ
20代で借金を負い、借金整理(債務整理)をしなければいけないかもしれないという状況は、なかなかだれにも相談することができないかもしれません。
しかし、借金問題は、放っておいても事態が悪化するケースがほとんどです。
20代で借金を返済するのが難しい場合、まずは弁護士に相談してみましょう。
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この記事の監修者
弁護士 星野 彩子
注力分野:法人破産,個人破産,個人再生
神奈川県出身。早稲田大学政治経済学部卒業。埼玉弁護士会所属。
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